ナッツのオメガ3は熱に弱い?筋肉を“守る”ための本当の摂り方
- 7月30日
- 読了時間: 4分
更新日:6 日前
オメガ3を摂っても無駄になる?
筋トレをしている人なら誰もが意識している「炎症」「筋分解」「回復」。これらを左右する要素の一つが、オメガ3脂肪酸です。

特にナッツや青魚に含まれるオメガ3には、炎症を抑える働きがありますが、「加熱調理で壊れる」という話も…。本記事では、その温度的根拠と、正しい摂取方法・調理法、そして筋トレ後にも続く分解経路=ユビキチン・プロテアソーム系(UPS)との関係まで、科学的に解説します。
✅ オメガ3脂肪酸とは?筋トレに効く理由
3つの主なオメガ3脂肪酸
ALA(α-リノレン酸):ナッツや亜麻仁油などの植物由来
EPA(エイコサペンタエン酸):主に青魚に含まれる
DHA(ドコサヘキサエン酸):青魚、特に脳・視覚に関与
トレーニング後のリカバリーや炎症抑制に関与するのは主にEPAです。
✅ アラキドン酸カスケードとエイコサノイドの役割
アラキドン酸 vs EPA:体内で炎症をめぐる攻防
原料脂肪酸 | 生成されるエイコサノイド | 作用 |
アラキドン酸(ω-6系) | PGE₂、LTB₄など | 炎症促進、血小板凝集 |
EPA(ω-3系) | PGE₃、LTB₅、レゾルビン類 | 炎症抑制、血液サラサラ効果 |
EPAはアラキドン酸と同じ酵素系で代謝されるため、EPAが多いとアラキドン酸の代謝が阻害され、結果的に「炎症抑制系の物質が優位」になります。
✅ オメガ3脂肪酸の変性温度は何℃か?
140℃以上で酸化・分解が急加速
複数の研究により、オメガ3脂肪酸は140℃以上の加熱で顕著に酸化・変性することが示されています。
🔍 参考:
脂肪酸の加熱変化に関する研究 → α-リノレン酸は140℃以上で大きく減少 (出典:https://cir.nii.ac.jp/crid/1390282680669073792)
酸化生成物(LOPs)の生成に関する研究 → 150~200℃の加熱で酸化指標が急増 (出典:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fnut.2022.913297/full)
✅ 調理法別の温度とオメガ3の損失リスク
調理法 | 温度帯 | オメガ3への影響 | コメント |
焼く(中火以上) | 160~250℃ | 酸化・分解が顕著 | 美味しいが栄養損失は大きい |
揚げる | 180~220℃ | 非常に劣化しやすい | オメガ3摂取目的には不向き |
茹でる・ボイル | ~100℃ | 酸化なし | 安全かつ栄養を保持 |
蒸す | 100~105℃ | 極めて安定 | 最もおすすめ |
弱火ロースト | 120~140℃ | やや劣化 | 食感と栄養のバランス型 |
✅ ナッツのALAはEPAに変換されるか?
変換率は低く、EPA補給源としては非効率
摂取元 | EPAへの体内変換率 |
ALA(ナッツ・亜麻仁油) | 約5~10% |
魚油(EPA/DHA含有) | 実質100%(変換不要) |
EPAサプリメント | 実質100%(変換不要) |
つまり、「オメガ3を摂ってるつもりでも、実際に効いているEPAの量はかなり少ない」というのが現実です。
✅ 筋肥大後でも分解される?UPS(ユビキチン–プロテアソーム系)の落とし穴
筋肉はつけるより「守る」方が難しい
筋トレで筋肥大を達成したとしても、その後何もしなければ筋分解(カタボリズム)は常に進行中です。その中心的な仕組みが以下の経路です:
ユビキチン–プロテアソーム系(UPS) → ユビキチンが筋タンパク質にタグ付けし、プロテアソームで分解 → MuRF1やAtrogin-1という遺伝子が関与
この系は加齢だけでなく、激しいトレーニング後・栄養不足時・炎症下でも活性化します。
UPSは「つけた筋肉」さえも壊す
筋トレ直後の筋肥大期でも、炎症や過剰なコルチゾールによってUPSが動き出す可能性あり
「トレーニングでつけた筋肉」も油断すればすぐに分解の対象
🔥だからこそ、「炎症を抑える」「筋分解を防ぐ」栄養戦略が必要になります。
✅ 実践ポイント:オメガ3を最大限活かす方法
ナッツの摂取は「弱火ロースト」または「蒸し」
120~140℃以下の弱火ロースト or 蒸し調理がベスト
風味と食感を守るならロースト、栄養優先なら蒸し
魚は焼きすぎない、煮る・蒸すが理想
表面を焼きすぎると200℃を超えることも
魚のEPAを守るなら煮物、蒸し物、低温調理が◎
確実にEPAを摂るならサプリメント
EPA+DHA合計で1.5~2.5g/日が目安
食後やトレーニング後の摂取が効果的
🎯まとめ:オメガ3は「温度」と「効率」を制する者が勝つ
オメガ3脂肪酸は140℃以上で急激に変性
ALAの変換効率は低く、EPAを直接摂るのが効率的
UPSは筋肥大後でも筋分解を進めるため、炎症コントロールが重要
オメガ3は筋トレ民にとって、“攻め”と“守り”を担う栄養素
💬 最後にひとこと
筋肉を育てる努力と同じくらい、壊さない工夫も大切。オメガ3はその“守りの一手”です。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。これからも「心と体を守る健康情報」を発信していきます。それでは、また次回の記事でお会いしましょう。