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骨格差を活かしたスクワットのやり方|大腿四頭筋・大殿筋を狙い分けるコツ

  • 1 日前
  • 読了時間: 8分

多くのトレーニング愛好家が、筋トレを学ぶ際に陥りがちな思い込みがあります。

それは、「種目名 + 強化部位」をセットで覚えてしまうことです。


  • 「スクワットは前ももの種目」

  • 「ワイドスタンスは内転筋」

四頭筋と大内転筋ハイライト表示
四頭筋と大内転筋

もちろん、大まかな傾向としては間違いではありません。しかし、「同じフォームでスクワットしているのに、友人とは疲れる場所が全然違う」という経験はないでしょうか?

実は、そこには「個体差(骨格)」という物理的な要因が関係しているのです。


重要なのは、自分の骨格(脚が長い人/短い人)を念頭に置き、鍛えたい部位(前もも/お尻)に合わせてスタンス幅やフォームを選ぶことです。


今回は、バイオメカニクス(生体力学)の視点から、「なぜ同じフォームでスクワットをしても、疲労する部位が違うのか」、そして「自分の骨格と目的に合わせてどうフォームを選べばいいのか」を分かりやすく解説します。

目次

1. スクワットで鍛えられる主な筋肉

スクワットで主に鍛えられるのは、以下の2つの筋肉です。


  • 大腿四頭筋(前もも):膝を伸ばす筋肉。太もも前面の太さやパワーを作る

  • 大殿筋(お尻):股関節を伸ばす筋肉。ヒップアップや後ろ姿のシルエットを作る


どちらをメインターゲットにするかで、最適なスタンスとフォームが変わります。

「スクワット=なんとなく脚全体」ではなく、「前ももを太くしたいのか、お尻を鍛えたいのか」という目的を先に決めることが、効率的なトレーニングの第一歩です。

2. 重さだけじゃない。「トルク」が筋肉への本当の負荷

トレーニングの負荷を、「バーベルの重量」だけで考えていませんか?

実は、筋肉にかかる本当の負荷は、「トルク(回転力)」で決まります。

ここで重要なのが「モーメントアーム」です。

てこの原理の授業風景
てこの原理の授業風景

モーメントアームとは、簡単に言えば「体を横から見たとき、関節の中心から、重りの真下にある線までの水平距離」のことです。

この距離が長いほど、その関節を動かす筋肉への負荷が大きくなります。


関節にかかるトルク(負荷)は、次のシンプルな式で表せます:


トルク=重さ×モーメントアーム


つまり、同じ重量でも、関節から重心線までの距離が長いほど、その関節を動かす筋肉への負荷は大きくなるのです。


例えば100kgを担いだとき:

  • 重心線(バーベルの真下)から股関節までの距離が、重心線から膝までの距離よりも長い=重心線から股関節の方が遠い

    → 股関節トルク大(お尻に効く

  • 重心線(バーベルの真下)から股関節までの距離が、重心線から膝までの距離よりも短い=重心線から膝関節の方が遠い

    → 膝関節トルク大(前ももに効く


この物理法則は、誰にでも平等に働きます。

3. 「脚が長い人」と「短い人」の違い

では、スクワット(ミディアムスタンス)を例に考えてみましょう。

ここに、身長は同じでも「脚が長い人」と「脚が短い人」がいます。二人が同じフォームでしゃがんだとき、体の中で何が起こるでしょうか?

なお、実際には「太ももと脛の長さ比」「胴体の長さ」「足首の柔軟性」「バーの担ぐ位置」なども影響しますが、ここでは最も分かりやすい「脚の長さ」を中心に説明します。

骨格の違いによるスクワットフォームの差とモーメントアーム
骨格の違いによるスクワットフォームの差とモーメントアーム

A. 脚が長いタイプの場合

脚が長い人が、バーベルの重心を足裏の中央(ミッドフット)に維持してしゃがもうとすると、構造上、お尻を大きく後ろに突き出し、上体を深く前傾させる必要があります。そうしなければ後ろに倒れてしまうからです。


この時、モーメントアームはどうなるか?

  • 膝関節から重心までの距離:短い

  • 股関節から重心までの距離:非常に長い

つまり、標準的なフォームでは、本人がどれだけ「前もも」を意識しようとも、物理的にはお尻・ハム優位の種目になりやすいのです。


結果として:

  • お尻(大殿筋)、裏もも(ハムストリングス)への負荷が大きい

  • 前もも(大腿四頭筋)への負荷は小さめ


B. 脚が短いタイプの場合

一方、脚が短い人が同じく足裏中央に重心を乗せてしゃがむ場合、股関節が自然と前方に位置しやすく、上体の前傾は浅くて済みます。


この時のモーメントアームは:

  • 膝関節から重心までの距離:長い

  • 股関節から重心までの距離:短い


構造的に、膝優位となり、前もも(大腿四頭筋)へ強烈な刺激が入りやすい傾向があります。

4. 骨格×鍛えたい部位でフォームを選ぶ

ここからが重要なポイントです。

スクワットは、自分の骨格と鍛えたい筋肉に合わせてスタンスとフォームを選ぶエクササイズです。

「教科書通りのフォーム」を無理に真似るのではなく、「自分の体で、狙った筋肉を効かせられるフォーム」を見つけることが最優先です。


パターン① 脚が長い人が「前もも(大腿四頭筋)」を鍛えたい場合

関節可動域や筋の柔軟性に問題がない場合、以下の調整で膝関節トルク(前もも負荷)を増やすことができます。


基本戦略:上体を起こして膝を前に出す

  1. ワイドスタンスを試す:足幅を肩幅より広めにすることで、股関節の詰まり感が減り、上体を起こしたまま膝を前方に出してしゃがみやすくなります。結果として膝関節のモーメントアームが長くなり、前ももへの負荷が増えます。

  2. かかとの下に板やシューズを使って高さを出す:足首の背屈を補助し、脛を前に倒しやすくすることで、膝を前に出して深く曲げられるようになります。

  3. フロントスクワットに変える:バーが前に位置することで、自然と上体が立ち、膝優位のフォームになりやすくなります。

  4. レッグプレスやハックスクワットなどマシン種目を使う:膝伸展動作をアイソレートしやすく、骨格的な制約を受けにくい種目です。


可動域・柔軟性に制限がある場合

もし足首や股関節の可動域が狭い場合は、フォーム調整の前に可動域改善が優先課題になります。

  1. 足首背屈のストレッチやモビリティワーク

  2. 股関節屈曲の柔軟性向上エクササイズ

  3. ヒールの高いリフティングシューズの活用

可動域が改善すれば、上記のフォーム調整がより効果的に機能します。


パターン② 脚が長い人が「お尻(大殿筋)」を鍛えたい場合

もともと股関節優位になりやすい骨格なので、基本フォームでも十分お尻に効きやすいです。

さらにお尻への負荷を増やしたい場合:

  1. ミディアム〜ややナロースタンス:お尻をしっかり引いて股関節を大きく曲げる

  2. ローバースクワット:バーを低めに担ぎ、上体を前傾させて股関節優位にする

  3. ルーマニアンデッドリフトやヒップスラスト:股関節伸展をアイソレートできる種目を選ぶ


パターン③ 脚が短い人が「前もも(大腿四頭筋)」を鍛えたい場合

もともと膝優位になりやすい骨格なので、基本フォームで十分前ももに効きやすいです。

さらに効かせたい場合:

  1. ミディアム〜ややナロースタンス:膝を前に出しやすくする

  2. ハイバー/フロントスクワット:上体を立てる

  3. レッグプレスやレッグエクステンション:アイソレート


パターン④ 脚が短い人が「お尻(大殿筋)」を鍛えたい場合

膝優位になりやすい骨格なので、意識的に股関節トルクを増やす必要があります。

  1. ワイドスタンス:お尻を強く引いて股関節を大きく曲げる

  2. ローバースクワット:バーを低めに担いで上体前傾を増やす

  3. ルーマニアンデッドリフトやヒップスラストなどお尻特化種目を選ぶ


フォーム確認のポイント

自分のフォームが実際に膝優位か股関節優位かを確認するには、横から動画を撮ってチェックしてみましょう。

しゃがんだとき、バーの真下の線に対して膝がどれだけ前に出ているかを見ることで、膝関節のモーメントアームの長さを視覚的に把握できます。

5. まとめ:自分の骨格×目的でフォームを決める

筋トレで大切なのは、「教科書通りのフォーム」を完璧に再現することではありません。


自分の骨格(脚が長い/短い)を理解し、鍛えたい部位(前もも/お尻)に合わせてスタンス幅とフォームを選ぶことが最も重要です。

  1. スクワットで「どこに効くか」は、骨格(脚の長さ、胴体の長さ、関節の柔軟性など)で変わる

  2. 筋肉への本当の負荷は「重量」ではなく「トルク(重さ×モーメントアーム)」

  3. 脚が長い人はお尻・ハム優位、脚が短い人は前もも優位になりやすい

  4. 自分の骨格(長脚/短脚)×鍛えたい部位(前もも/お尻)の組み合わせでスタンスとフォームを選ぶ

  5. 脚が長い人が前ももを鍛えたい場合:ワイドスタンス+上体を起こす、かかと高め、フロントスクワット、マシン種目

  6. 可動域や柔軟性に制限がある場合は、まずその改善が優先課題

  7. 横から動画を撮って、膝がどれだけ前に出ているかを確認する

  8. 万人共通の「完璧なスクワットフォーム」は存在しない


「スクワット=前ももの種目」という固定観念を捨て、自分の体の特性と、何を鍛えたいのかという目的を明確にすること

それが、効率的に理想の体を作る第一歩です。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。これからも「心と体を守る健康情報」を発信していきます。それでは、また次回の記事でお会いしましょう。


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